- 2025.06.07
- Column
ISH2025 in Frankfurt に行ってきました vol.2
ISHレポートその2~ストレージに見る、エネルギー事情
みなさん、こんにちは!『(株)あたらしいこと』空調ディレクターの三原です。
2025年3月、2年に一度ドイツ・フランクフルトで開催される世界最大規模の設備展示会、ISH展に行ってきました。この展示会を見ることにより今後の世界の設備的方向性が見えてきます。
今回は前号につづきISHレポートになっています。
前回は換気システムに関するレポートでしたが、今回はストレージです!貯湯タンクです!!
換気装置の次に私が興味を惹かれたのは貯湯タンクです。
日本での貯湯タンクでいえば、エコキュートや電気温水器、太陽熱温水器等が代表的であるが、今回の展示会でストレージ単体での展示が多く見られました。
まず、今までと違うなと感じたのはサイズのバリエーションが増えたこと。
小さいもので40Lクラス程の物から1000Lオーバーのものまで細かくサイズ分けされており、そのほとんどが複数の熱交換器を内蔵しており、お湯を作るための熱源を複数接続したり、給湯以外に暖房等に利用したりが可能となっていました。
複数の熱源が使用できるメリットは給湯エネルギーを一つの熱源に限定しないことを意味しており、たとえばメインは太陽熱でバックアップとしてガスボイラーや温水回路内臓のペレットストーブなどを利用することが可能ということ。
まずは自然エネルギーを利用した熱源を確保することにより、省エネ化を図る。
昨今のエネルギーの供給状態を考えると国際的な政治状況や紛争が、対岸の火事ではなく生活に直結していることがわかります。そのようなことに左右されない自然エネルギー利用はとても理に適っているのです。
独裁者がおかしなことをしても、太陽の熱を止めることはできませんから(笑)
次に二次利用ですが給湯の他に、温水暖房やで換気のデフロスターとしての利用があります。
エネルギーが安価な時代には温水暖房が広く普及しましたが、ほとんどの場合は断熱気密不足の屋内を暴力的なパワーのボイラーでガンガン温める方式でした。
現在のような状況になると、時代にそぐわないことがわかります。
実際現地で宿泊した施設では、セントラルヒーティングが設置されていましたが作動しておらず、個々の部屋に電気ヒーターが置いてある状態でした。
おそらく全館暖房するより、1対1エネルギーの生の電気ヒーター(1W使用に対して1Wの暖房エネルギーの意味)で必要なときのみ暖房する方が経費的に安いのでしょう。
宿泊施設なら昼間はほぼ外出していますし、就寝時は時期的にベッドに入れば暖房を必要としませんから。
実質の稼働時間は2~3時間ほどでしたから。(さすがに24時間暖房なら電気ヒーターあり得ないでしょう。)自然エネルギーを多く利用すれば、既存の温水暖房設備を無駄にせず利用することが可能となります。
また、寒冷地において熱交換換気システムを利用する場合デフロスト運転の問題があります。
予熱ヒーターを電気式から温水式のものに変更すると、省エネ化を図りながらデフロスト運転よる換気不足を解消することが可能になります。
ストレージ入出口が増えると、それら入り切りを制御するコントローラーが必要になります。
展示会ではそれらに対応する制御器が多数展示されており、スマホでコントロールできるものもたくさんありました。
ではこれら組み合わせにより、どのようなことが可能なのか?
先ず、給湯などに使われるエネルギーを自由に選択できる。
バックアップ用のエネルギーも自由に選択できる。
2次利用も自由に選択できる。
ということになります。
例えば、太陽熱温水器が夜間または冬季間十分なお湯を作ることができない場合ペレットボイラーや薪ストーブボイラーからエネルギーを供給できる。その場合に制御器にてストレージ内での熱交換の優先順位をつけることが出来る。また小さいサイズのタンクは換気装置のダウンサイジング化同様、設置スペースを問わず、自然エネルギーが利用可能となる。
首都圏や狭小地の多い京都などでも設備導入の可能性が広がります。
ここでは対費用効果を無視して話していますが、このような設備の場合は設置条件により、有効な組み合わせが変わるからです。ご理解くださいね、ここで「エコエコ論争(エコロジーか?エコノミーか?)」をする気はありませんのでご容赦ください。
日本のメーカーのようにシステムの全てを自社で賄う方式だとエネルギーの種類や、設置方法、組み合わせ等に自由度が無いんですよね。商品を販売するうえで、一番市場性があるところの商品のみとなりますから。
EU圏の羨ましいところは様々な汎用商品が圏内で販売されており、EU圏内においてそれらの調達が容易であることで、それらを利用したシステムの構築が容易であることです。
今後は、日本でもそのようなことが当たり前になると良いですね。
そのためには汎用品を組み合わせてシステムを構築できる技術者の育成が必須となりますが・・・
以上ISHレポートは終了となります。
最近は施主様も大変勉強されている方が多くなり、いろんなアイディアを持った方がおられます。
「こんなこと良いな。できたらいいな♪」のご要望に際し、設備のドラえもんになれるようがんばります。
汎用品を利用して制御する、リレーの製作など三原の得意とするところです。
「株式会社あたらしいこと」では、パッシブハウス認定を含めた超気密、超断熱住宅のコンサルタントから新しいシステムの構築、実物件の設計施工まで幅広く皆様のご要望に対応する準備をしております。
私の話しに興味のある方ご意見ご要望のある方は是非、「株式会社あたらしいこと」のinfoまでメール下さい!
次回は「換気風量と分配はどう考える?」を予定しております。
早く読みたいなどの意見がinfoに届けば、三原のやる気も変わるかも(笑)
次回も三原節炸裂で行きますよ!
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なにせ、うちの社長は友達が少ないので(爆)
