- 2026.02.01
- Column
あたらしいことコラム 2026.02月号
◎プロローグ
冬らしい寒い日々が続いていますね。
ここ何日かは、気温だけではなく相対湿度(以下、湿度)も低くなってきた印象です。
湿度は40%でも乾燥感を感じない方もいれば、50%ぐらいないとダメな方もおられると思います。
たまに、湿度は高い方が良いと思って、冬でも湿度60%ぐらいにされている方を見かけますが、木造住宅の結露リスクを考えるとあまりお勧めはしません。
特に、高性能住宅になると高い室温(20℃程度)を維持し易くなりますが、室温が高いほど(同じ湿度であれば)絶対湿度が高くなりますが、それは(寒い外気と相まって、露点温度に達し易くなり)結露リスクも上がることを意味します。
個人的には、室温が20℃以上あるのであれば、高くても相対湿度55%ぐらいまでに抑えることをお勧めします。
さて、今回のコラムは「家守り」のお話しです。
家守りって何?と思われるかもしれませんが、家づくりは建てたら終わりではなく、日々のメンテナンスなど家を維持管理するところを含めて家づくりです。
要は、住宅が完成してようやくクライアントの暮らしが始まる訳ですが、その暮らし方を考える「設計」とはどういうことなのか?を紐解く、そんなお話しです。
「家守り」は設計段階から
省エネ、快適、健康、環境保全、持続可能・・・様々な分野での共通のキーワードですね。
我々が携わる建築分野において、これらのキーワードを達成するためにはどうすればいいのでしょうか。
そのソリューションの一つが高気密・高断熱(躯体強化)であることは多くの方々が認めるところであると思います。
躯体性能を上げていくためには初期コストがかかりますが、暮らしの中でのランニングコストを小さくすることができます。
健康にも直結し、医療費削にもつながることは検証されているところです。
合わせて、高性能な建物の寿命を延ばすことが、資源の有効活用(環境保全)や持続可能な社会インフラとして、とても有効であると思います。
かつての住宅産業のような、世代ごとに建て替える、スクラップ&ビルドではなく、質の良いものを何世代にもわたって住み継いでいくことが、最大の省エネでもあり、各世帯において最もローコストでもあると思います。
建築は資産形成であるという観点も大事ですね。
では、永く住み継ぐことのできる建築とは・・・どういったものでしょうか。
省エネ性(使わない創エネ)、快適性・健康(躯体性能の高さ)、耐震性(丈夫さ、安全)、防蟻・防腐(白アリ対策、結露対策)、維持管理性(メンテナンス性のよさ)、意匠性(格好がよい)などのポイントがあると思います。
この中でも、維持管理のしやすさを考慮した建築計画ができていないことが多いように感じます。
維持管理は建てた後のことではなく、維持管理=「家守り」とすれば、その第一歩は、建築前の計画にあります。
言葉を変えると、「家守り」は、アフターメンテナンスの話ではなく、設計段階から、運用・点検・将来改修までを含めた時間軸を持った設計思想といえると思います。
昨年体験したことでいうと、エアコンの冷媒管の断熱欠損が原因で、結露が発生し、天井面をシミにしてしまった事例がありました。
結露の原因は特定できましたが、その部分の断熱補強をしようとしても、その作業スペースがなく、メンテナンスに苦労した経験をしました。
施工ミスをなくすことは最も大事なことですが、後天的な現象や、想定外の環境への配慮が足りなかったなと反省した次第です。
設備機器には寿命があり、その交換作業のしやすさも考慮しなければなりません。
その配置計画、躯体構造計画をもっと意識することが大切だと思いました。
そのためには、意匠や動線の設計、構造設計、設備設計という各分野の専門家がワンチームとなって計画していくことが肝要であると、あらためて感じています。
「家守り」ができているつくり手は、まだまだ少ないのではないでしょうか。
意匠、構造、エネルギーコンサル、換気空調設備や工務の専門家集団である「あたらしいこと」ができることは、まだまだあると確信しています。
著/テクニカルディレクター 島田恵一
